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遷移金属は、複数の酸化状態で安定に存在でき、また、酸化や還元を受けやすいという性質を持ちます。この性質を利用すると、炭素−炭素あるいは炭素−ヘテロ原子結合を簡単に、かつ触媒的に構築することができます。
そればかりか、従来から知られている反応を用いた場合には多段階を要した複雑な分子の構築が、遷移金属を用いることによって一段階で行えるという利点をも持ち合わせています。現在、私たちの身の回りにある化学工業製品の大半は、遷移金属触媒を用いた反応によって合成されています。
私の研究グループでは、反応場や配位子効果を利用して、この遷移金属錯体の反応性を上昇させ、既知の反応における遷移金属錯体の触媒活性を格段に上げた高効率的な反応を開発したり、今まで知られていないような新しい反応を開発することを目的に研究を行っています。
アセチレンとオレフィンからシクロペンテノンを合成する反応(Pauson-Khand反応)において、1つの錯体分子が2000個の基質分子の環化反応を触媒するような高効率的反応触媒や、普通には合成できないと考えられてきた反芳香族性を示すシクロペンタジエノンの触媒的合成法、1つの反応で6つの結合を構築するような高効率的反応などをこれまで開発してきました。これらの研究は、数多くの総説や専門書で紹介されたほか、これらの研究をもとに、さらに発展させている数多くの研究グループが、世界中にいます。